先端環境計測・大気化学反応の研究室

中赤外吸収分光法を用いたヒドロペルオキシラジカルの
 検出及びその反応に関する研究

多重反射時のミラー上He-Neレーザースポット
He-Neレーザースポット

対流圏・成層圏におけるHOXサイクルはオゾンの生成・消失,揮発性有機化合物(VOC)の酸化反応などに関わり,大気中で重要な役割を果たします.そのため,HOXサイクルの反応機構解明は非常に重要な問題となっています.
 本研究ではHO2を新たに中赤外吸収分光法を用いて検出し,その反応の解明を目指します.中赤外光はHO2の吸収が強いため,感度良く検出できることが期待されます.新規レーザー光源である量子井戸レーザーを用いたHO2の高感度検出が可能な新たな装置を開発しました.

装置全体図
装置全体図
化学反応実験より見積もったHO2-H2O錯体濃度
HO2-H2O錯体濃度の予測値

代替フロンの地球環境影響評価

フッ化炭化水素(hydrofluorocarbon、HFC)や、ポリフッ化アルコール(polyfluoroalcohol,PFA)は代替フロンの候補であり、電子部品洗浄剤、熱媒体、潤滑剤の溶媒として期待されている。HFCとPFAは分子骨格中に塩素を含んでいないためオゾン層破壊は避けることができるが、赤外域に強い吸収を持つため地球温暖化物質であると評価されている。また、環境に放出された際の、環境影響については十分理解されていない。代替フロンの大気化学反応により生成するフッ素含有カルボン酸が生態系に影響を及ぼすしていることが報告されている。HFCとPFAを工業プロセスの中でフロン代替物 として実際に使用する場合には、環境に与える影響ができるだけ小さくかつできる限り地球温暖化係数が低いものを用いることが求められている。本研究室では、これらの評価を以下の点から行っている。

  • 代替フロンの大気寿命、地球温暖化係数およびオゾン破壊係数の評価
  • 代替フロンの大気化学反応機構の解明
代替フロンの大気化学反応
代替フロンの大気化学反応

高感度分光計測法を用いた大気化学・燃焼化学機構の解明

近年、都心で漸増している光化学スモッグの原因の解明を化学反応の立場から研究している。都市大気環境の問題は、産業型の大気問題から都市型への問題へと移り変わっている。すなわち、我々が日常生活で使っている化学物質の大気への排出が原因であると考えられている。本研究室では、これらの問題を解決すべく、化学物質の大気放出に伴って起こる化学反応を反応速度論の立場から研究している。
 自動車燃料には30−40%程度芳香族炭化水素が含有されている。芳香族炭化水素の大気酸化過程や燃焼反応過程についての研究を実験および理論の両面からのアプローチにより行っている。下図は、自動車燃料由来の芳香族炭化水素の酸化過程である。

芳香族炭化水素の酸化過程
芳香族炭化水素の酸化過程
  • 対流圏及び燃焼反応における炭化水素ラジカルの酸化反応機構の解明
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